令和3年度 就労継続支援A型の報酬改定
令和3年度 就労継続支援A型の報酬が改定されました。
具体的には
1.基本報酬の区分の決定に係る実績の評価方法の見直し
2.基本報酬算定における評価内容の公表
3.一般就労への移行の促進
4.医療連携体制加算の見直し
以下にご説明します。
1.基本報酬の区分の決定に係る実績の評価方法の見直し
基本報酬の区分の決定方法が改定されます。
基本報酬の算定に係る実績について、現行は「1日の平均労働時間」にて算定していましたが、令和3年度より
ⅰ 1日の平均労働時間
ⅱ 生産活動
ⅲ 多様な働き方
ⅳ 支援力向上
ⅴ 地域連携活動
の5つの観点から成る各評価項目の総合評価をもって実績とする方式(スコア方式)に見直されます。
ⅰ 労働時間(1日の平均労働時間の状況)
① 評価要素
・ 1日の平均労働時間
② 評価の視点
「1日の平均労働時間」が長いほど、利用者の賃金増加につながることや、支援コストがかかると考えられるため、「1日の平均労働時間」により評価。
③ 評価方法
前年度において、雇用契約を締結していた利用者の労働時間の合計数を当該利用者の合計数で除して算出した事業所における1日当たりの平均労働時間数によって8段階の評価をされます
評価方法
・ 7時間以上 :80 点
・ 6時間以上7時間未満 :70 点
・ 5時間以上6時間未満 :55 点
・ 4時間30分以上5時間未満 :45 点
・ 4時間以上4時間30分未満 :40 点
・ 3時間以上4時間未満 :30 点
・ 2時間以上3時間未満 :20 点
・ 2時間未満 :5点
④ その他
令和3年度の報酬の取扱いとして、「平成30 年度」「令和元年度」「令和2年度」いずれかの実績で評価することを可としまする。
ⅱ 生産活動(生産活動収支の状況)
① 評価要素
・ 前年度及び前々年度における生産活動収支の状況
② 評価の視点
生産活動収支の状況が健全であることは、利用者の賃金確保、水準にも大きく影響することから、事業所の生産活動収支の状況に基づき評価を行う。
③ 評価方法
前年度及び前々年度の各年度において生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額(以下、生産活動収支という。)が、利用者に支払う賃金の総額以上であるかによって4段階評価の評価されます
評価方法
前年度及び前々年度、生産活動収支が、利用者に支払う賃金の総額以上である。:40 点
前年度の生産活動収支が、利用者に支払う賃金の総額以上である。 :25 点
前年度の生産活動収支が、利用者に支払う賃金の総額未満である。 :20 点
前年度及び前々年度、生産活動収支が、利用者に支払う賃金の総額未満である。:5点
④ その他
令和3年度の報酬の取扱いとして、前年度を「令和元年度」に置き換えた実績で評価することを可(その場合、前々年度は「平成30 年度」を用いる。)とします。
ⅲ 多様な働き方(多様な働き方に係る制度整備及び実施状況)
① 評価要素
評価要素
・ 免許及び資格の取得の促進並びに検定の受験の勧奨に関する事項
・ 当該就労継続支援A型事業所の利用者を、職員(利用者を除く)として登用する制度に係る試験等の手続、対象者の要件及び採用時期に関する事項
・ 在宅勤務に係る労働条件及び服務規律に関する事項
・ フレックスタイム制に係る労働条件に関する事項
・ 1日の所定労働時間を短縮するに当たり必要な労働条件に関する事項
・ 早出遅出勤務に係る労働条件に関する事項
・ 時間を単位として有給休暇を付与又は計画付与制度の取得に関する事項
・ 従業者が私的に負傷し、又は疾病にかかった場合の療養のための休暇の取得に関する事項
② 評価の視点
利用者の多様な働き方のニーズに対応できるかどうかは就労の機会の提供の観点で重要であることから、多様な働き方を実現できる制度の整備状況とその活用実績により評価。
③ 評価方法
任意の5項目について規程等(就業規則その他これに準ずるものに限る。)で定めており、前年度において雇用契約を締結していた利用者の希望により当該5項目に係る制度を活用した実績があった場合に、各項目ごとに評価値を2(実績がない場合は1)として評価(最大10)した上で、その合計に応じて以下3段階で評価する。
評価方法
8以上の場合:35 点
6又は7の場合:25 点
1以上5以下の場合:15 点
④ その他
令和3年度の報酬の取扱いにおいては「令和2年度」の実績で評価する。
ⅳ 支援力向上(安心な職場環境の基礎となる支援力向上の取組)
① 評価要素
評価要素
・ 職員の研修に関する計画に基づく障害者雇用、障害者福祉その他障害者就労に関する外部研修会等の参加又は外部講師による内部研修会の開催状況
・ 外部研修会等への講師派遣、学会等での研究発表又は実践報告の実施状況
・ 障害者就労に係る先進的な取組を行う他の事業所等への視察若しくは実習への参加又は他の事業所等からの視察等の受入状況
・ 販路拡大、事業拡大等に向けた展示会への出展、商談会への参加その他生産活動収益の増加に資するビジネスマッチングに係る取組の実施状況
・ 昇給、昇格と連動した人事評価制度の整備状況
・ 障害者ピアサポート研修における基礎研修及び専門研修の修了し、利用者の就労又は生産活動等の支援を実施するピアサポートの配置状況
・ 前年度末日から過去3年以内の福祉サービス第三者評価の受審状況
・ 国際標準化機構が制定したマネジメントシステム規格等の認証取得又は更新審査等の受審状況
② 評価の視点
職員が常に仕事に対して意欲的に臨めるようなキャリアアップの機会を組織として提供し、第三者の評価を踏まえて、支援環境の整備につとめることは、基礎となる職員の支援力を高め、利用者に対する支援の質の向上に繋がることから、支援力向上に係る取組の実施状況により評価する。
③ 評価方法
任意の5項目について、各項目の取組実績に応じて別に定める算定方法に従い評価値として各1~2として評価(最大10)した上で、その合計に応じて以下3段階で評価する。
評価方法
8以上の場合:35点
6又は7の場合:25点
1以上5以下の場合:15点
④ その他
令和3年度の報酬の取扱いにおいては「令和2年度」の実績で評価する。
ⅴ 地域連携活動(地域連携活動の実施状況)
① 評価要素
・ 地元企業と連携した高付加価値の商品開発や販売の取組の有無
・ 施設外就労による地域での働く場の確保等地域と連携した事業や取組
② 評価の視点
事業所がその事業を展開する中で、利用者と地域との接点や関係を作り、地域での利用者の活躍の場を広げていくことは、利用者がそこで暮らし、自立した生活を実現していく上でも大切なことから、事業所における地域と連携した事業や取組(地域連携活動)の実施状況により評価する。
③ 評価方法
前年度に実施した地元企業と連携した高付加価値の商品開発、施設外就労による地域での働く場の確保等地域と連携した取組について、当該取組をまとめた報告書を作成し、インターネットの利用その他の方法により公表するとともに、当該報告書において連携先である地元企業等から当該取組が地域連携活動である旨の意見又は評価が付されていることをもって評価する。
評価方法
1事例以上ある場合 : 10 点
④ その他
令和3年度の報酬の取扱いにおいては「令和2年度」の実績で評価する。
スコア計算
上記の【ⅰ 1日の平均労働時間】【ⅱ 生産活動】【ⅲ 多様な働き方】【ⅳ 支援力向上】【ⅴ 地域連携活動】を200点満点でスコア計算をする。
就労継続支援A型サービス費(1日につき)
2.基本報酬算定における評価内容の公表
事業所のホームページ等を通じて、スコア方式による評価内容を全て公表することを事業所に義務付ける(運営基準の見直し)とともに、未公表の場合には基本報酬を減算する。
ⅰ スコア方式による評価内容の公表の義務付け(運営基準の見直し)【新設】
就労継続支援A型事業者は1年に1回以上、事業所ごとの運営状況について自ら評価を行い、その結果をインターネットの利用その他の方法により公表しなければならない。
ⅱ 自己評価未公表減算【新設】
スコア方式による評価内容が未公表の場合、所定単位数の15%を減算する。
3.一般就労への移行の促進
一般就労への移行の促進として、下記の
ⅰ 就労移行支援体制加算の充実
ⅱ 就労移行連携加算【新設】
ⅲ 福祉専門職員配置等加算の要件の見直し
を行う。
ⅰ 就労移行支援体制加算の充実
障害者本人の希望と能力・適性に応じて一般就労への移行を促進していく観点から、就労移行支援体制加算を充実する。
また、加算の充実については、実績による基本報酬の各区分に応じたものとする。
ⅱ 就労移行連携加算【新設】
就労継続支援A型を受けた後に就労移行支援の支給決定を受けた者がいた場合において、当該者に対して、当該支給決定に係る申請の日までに、就労移行支援事業者との連絡調整その他の相談援助を行うとともに、当該申請を行うに当たり、就労継続支援A型における支援の状況等の情報を文書により相談支援事業者に対して提供している場合に、1回に限り、1000単位を加算する。
ⅲ 福祉専門職員配置等加算の要件の見直し
作業療法士を福祉専門職員配置等加算における有資格者として新たに評価する。
イ 福祉専門職員配置等加算(Ⅰ) 15単位/日
職業指導員等として常勤で配置されている従業者のうち社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、作業療法士又は公認心理師である従業者の割合が100分の35以上ある場合に加算する。
ロ 福祉専門職員配置等加算(Ⅱ) 10単位/日
職業指導員等として常勤で配置されている従業者のうち社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、作業療法士又は公認心理師である従業者の割合が100分の25以上ある場合に加算する。
4.医療連携体制加算の見直し
医療連携体制加算については、医療機関等との連携により、当該医療機関等から看護職員を訪問させ、利用者に看護を提供した場合や認定特定行為業務従事者に対し喀痰吸引等に係る指導を行った場合に算定できるものだが、算定要件や報酬単価について必要な見直しを行う。
・ 医療・看護について、医療的ケアを要するなどの看護職員の手間の違いに応じて評価を行う。
・ 医師からの指示は、原則、日頃から利用者を診察している主治医から個別に受けるものとすることを明確化する。
以上を踏まえて、下記のように改定します。
ⅰ 医療連携体制加算(Ⅰ)
医療連携体制加算(Ⅰ) 32 単位
ⅱ 医療連携体制加算(Ⅱ)
医療連携体制加算(Ⅱ) 63 単位
ⅲ 医療連携体制加算(Ⅲ)
医療連携体制加算(Ⅲ) 125 単位ハ
ⅳ 医療連携体制加算(Ⅳ)
医療連携体制加算(Ⅳ)
看護職員が看護を行う利用者が1人 800 単位
看護職員が看護を行う利用者が2人 500 単位
看護職員が看護を行う利用者が3人以上8人以下 400 単位
ⅴ 医療連携体制加算(Ⅴ)
医療連携体制加算(Ⅴ) 500 単位
ⅵ 医療連携体制加算(Ⅵ)
医療連携体制加算(Ⅵ) 100 単位
障害福祉事業特化型事務所の岐阜ひまわり事務所
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